吉田が語る/思い出深いレンコン農家・武井さん
10周年を記念してよろぎ野.菜(よろぎの)代表吉田の想いや関わった生産者のみなさんとの歩みをご紹介します。
【吉田が語る/思い出深いレンコン農家・武井さん】
私は、「野菜嫌いの八百屋」というちょっと矛盾したキャッチコピーでお仕事をさせていただいております。
野菜嫌いの私が本当においしいと思う野菜をお客様に勧めたいという思いを込めています。
10年間で数多くの農家さんと出会いまして、その中で一番印象的なのは、茨城県土浦市のレンコン農家・武井さんです。
忘れもしない2011年3月11日の東日本大震災。
私は隣のつくば市にに住んでいまして、電気と水道が復旧するまでに1週間かかりました。
震災後はたくさんの農家さんに電話をして「大変だったら手助けするからね」と声を掛けていましたが、それは初めのうちだけ。
まさか1週間もかかるとは思っていませんでしたから、徐々に自分自身が生きるのに精一杯になってきました。
そんな中、武井さんから「電気が復旧したからおいで」と連絡をいただき、5日ぶりにお風呂に入ることができました。
お風呂から上がったらご飯が用意されていました。
もう、お風呂だけでも嬉しかったのに温かいご飯も食べられて、本当にありがたかったです。
武井さんはお人柄も最高だし、レンコンも最高に美味しい。武井さんの作るレンコンは皮がとても薄くてアクが出ないんです。
一般的にレンコンの下処理は、皮をむいて酢水に漬けてアクを取りますよね。
武井さんのレンコンはそれをする必要がありません。
お取引先の飲食店の料理人に「このレンコンはアクが出ないね」と絶賛されたことがあります。逆に「酢水に漬けたら味が抜けてしまうから漬けない方がいい」とアドバイスをいただきました。
この料理人からの絶賛ポイントを切り口に、バイヤーさんなどにもPRできるようになりました。一番はじめに、キレイにブランディングできたのが武井さんのレンコンだったんです。
武井さんに出会うまでは、正月のお節料理や幕の内弁当を食べるときくらいしか口に入れることはなかったのに、今ではいつも私の家の冷蔵庫には武井さんのレンコンが入っています。笑
とっても身近な野菜になりました。